競争の激しい技術者採用で、専攻にとらわれずポテンシャル人材を見出すための採用の工夫

▲採用・教育統括本部 新卒採用本部 新卒採用企画部1G 小谷野瑛美 様(写真左) 浅井のぞみ 様(写真右)
  • 社名:パーソルクロステクノロジー株式会社
  • 業種:テクノロジーソリューション事業※技術系専門人材の派遣・委託事業
  • 従業員数:9706名(2022年12月現在)
  • GPS-Businessご利用の目的:新卒採用の効率化、候補者の意向上げ

2023年1月に、パーソルR&D株式会社(以下、旧R&D)、パーソルテクノロジースタッフ株式会社(以下、旧PTCS)、パーソルプロフェッショナルアウトソーシング株式会社が合併して誕生。自社エンジニア、登録エンジニアを多数抱えており、大手メーカーや大学・研究機関の課題や要望に応じて、エンジニアの派遣や、業務の受託を行う。
採用では、専攻分野にとらわれず、コミュニケーション能力やパーソナリティを重視するポテンシャル採用を行う。一方で約2万名のエントリー数があるため 、面接だけで評価しようとすると面接官の選考負担が大きく、採用コストに見合う選考方法を検討している。

この企業の活用ポイント

  • ・思考力やパーソナリティで、ポテンシャルのある候補者をピックアップ
  • ・基準以上の学生のみを面接の対象とすることにより、面接官の選考負担を軽減
  • ・候補者の意向上げにGPS-Business受検結果を活用

新卒採用の全体像

充実した人材育成システムを整え、専攻分野にとらわれず、コミュニケーション能力やパーソナリティを重視

新卒採用の規模と組織体制をお聞かせください

小谷野様:募集人数は全社で約540名です。旧PTCSを引き継ぐ採用枠(IT系技術職、総合職)、旧R&Dを引き継ぐ採用枠(ものづくり系技術職)の大きく2つがあり、現在は別々に採用選考を行っています。

浅井様:採用組織については、「新卒採用部」と「新卒採用企画部」の2つの組織が新卒採用を担っています。新卒採用部は説明会や選考など学生と直接コンタクトする職務を、私たち2人が所属する新卒採用企画部は、選考フローの設計、母集団形成などの職務を担当します。

選考フローと評価の観点はどのようになっていますか

浅井様:旧PTCSの採用枠は、<説明会→書類選考→適性検査→1次面接→2次面接→内定>というフローで、総合職のみ、書類選考と併せて動画選考が行われます。旧R&Dの採用枠は、<説明会→1次面接→2次面接・技術力テスト・適性検査→内定>というフローです。
評価の観点は、2つの枠で若干の違いはあるものの、コミュニケーション能力やパーソナリティを重視する点は共通しています。いずれの枠の評価項目にも、誠実さや協調性、挑戦や変革への積極性、ストレス耐性が挙げられています。技術職では専門性も評価しますが、専門知識や技術力そのものだけでなく、技術者になりたいという思いの強さに着目しています。

技術職でもコミュニケーション能力やパーソナリティを重視するのはなぜでしょう

小谷野様:当社のエンジニアはクライアントへの派遣業務が多く、派遣先とのコミュニケーションが重要です。どんなに技術力があっても、コミュニケーション力がないと仕事が円滑に進みません。
さらに、近年はクライアントのIoTやDX推進を支援することが増えていますが、これにはIT技術とものづくり技術といった異分野間での協働が不可欠となるため、伝える力、聴く力、協調性などがますます欠かせなくなっています。

浅井様:もちろん、高度な技術力も兼ね備えた人が理想であることは言うまでもありません。ただ、技術力は研修で高められますが、それに比べるとコミュニケーション能力やパーソナリティは育成が難しい。限られた募集市場の中で入社後の活躍が期待できる人を採用するために、コミュニケーション能力やパーソナリティは、より優先度が高い要素だと考えています。その分、当社は手厚い人材育成システムを用意しています。自分のスキルをアップデートする意欲をもっていれば、入社後もスキルを高めていけます。

人材育成システムについて具体的に教えてください

浅井様:入社前は内定承諾者を対象に、入社準備プログラムを定期的に開催しています。ビジネスマナーやプレゼンテーションの勉強会、社員・同期との交流会などが主な内容です。入社時研修は、職種別で約3か月間。たとえばIT系技術職の一つ、インフラエンジニアの場合、ネットワークの基礎から応用、Linuxの基礎から構築など、業務のベースとなる知識、技術を学んだうえで、基盤構築の模擬演習、配属先での個別演習を行います。
その後も、多様な研修、講座で社員の成長をサポートしています。各技術部・課では、自主的な勉強会が年間計500回開かれているほか、階層別の技術研修を年間670講座(対面・オンライン)開催。個別に学習できるe-learningとして、自社の年間260講座に加え、オンライン学習サービス「Udemy Business」を提供。パーソルグル-プ主催の研修やe-Learningも利用可能です。

活用方法と成果

スクリーニングに活用して面接の負荷を軽減。候補者の意向上げにも活用

GPS-Businessをどのように活用していますか

小谷野様:旧PTCSの採用枠(IT系技術職と総合職)で、会社説明会後、書類選考・動画選考の合格者に適性検査として実施しています。一番の目的は、1次面接前の候補者のスクリーニングです。
私たちが採用活動で意識しているのは、「学生のポテンシャルを見出す」こと。書類選考では高いハードルを設けず、一定の要件を満たしていれば積極的に通過させ、面接で意向上げを行いながら、当社に適した学生を探します。とはいえ、エントリー数が全社で約2万人と大規模なので、スクリーニングをしなければ面接にかかるマンパワーと時間が膨大になってしまいます。当社が重視するコミュニケーション能力やパーソナリティについて定量的な評価ができることから、GPS-Businessを採用しています。
GPS-Businessでは思考力とパーソナリティについて、それぞれ3つの項目を測定できますが、当社ではその中でも思考力総合(3項目の総合)、協働的思考(思考力の1項目)、レジリエンス(パーソナリティの1項目)を見ています(※図版1)。協働的思考は、当社の評価項目である「関係構築(コミュニケーション)」と、レジリエンスは「ストレス耐性」と重なるものです。思考力、協働的思考、レジリエンスの段階別評価(S~D)がすべて一定段階以上であれば選考通過で、面接へと進みます。通過率は約85%ですので、全体の約15%の選考コストを下げることができています。

※図版1 GPS-Business総合レポート(一部抜粋。赤枠は適性検査における評価項目)

GPS-Businessの結果は、スクリーニング以外にも使っていますか

小谷野様:面接時に、面接官が評価の参考として、また学生へのアドバイス材料として使用することがあります。当社の面接では、面接の最後に、学生の良いところや当社とマッチしているポイント、改善を期待したい点を伝えているため、GPS-Businessによる客観的なアセスメント結果は、アドバイスに説得力を持たせる材料になるでしょう。学生時代に技術経験のある学生や、思考力、コミュニケーション力が高い有望な学生については、大学で学んできたことが生かせる、面白そうな仕事が待っている、認められている、期待されていると感じてもらい、入社意欲を高めるよう心がけています。
また、1次面接を通過した学生には、新卒採用部の社員が「採用担当」としてつきます(旧R&D採用枠では1次面接予約時から)。採用担当は、その後の選考フローについて学生の疑問に答えて不安を軽減したり、入社後の働き方について説明して入社意欲を高めたりするほか、学生の長所を見つけて、選考や就労後に本人がより力を発揮できるようにアドバイスも行っています。GPS-Businessのスコアは、学生の活躍可能性を見つけるヒントとして役立っています。

課題と展望

面接への移行率アップ、優秀層の確保に役立つ使い方を検討

今後の採用活動の課題と展望、その中でのGPS-Businessの活用法について聞かせてください

小谷野様:目下の採用活動の中でめざしているのが、説明会参加者や適性検査合格者が1次面接を予約する割合の向上です。2026年卒者対象の選考に向けて、旧PTCSと旧R&Dで採用枠の統一を図っている最中ですが、仮に統一後も現状の旧PTCSと同じく、説明会・書類審査後にGPS-Business受検を挟むとすれば、学生が1次面接に進むかどうかを決める重要なタイミングです。スクリーニングの観点で効率的に質を担保しながらも、 受検結果を意向上げに活用するなど、移行率を高める使い方を工夫したいと思います。
また、現在はGPS-Businessの測定項目のうち一部しか活用していませんが、より優秀な層を確保するために、別の項目の活用可能性も視野に入れようと考えています。入社後に伸びる「芽」を見つけるしくみの構築が、私たち新卒採用企画部の仕事です。研修担当の部署とも連携して、多数のエントリー学生のどこにポテンシャルを見いだし、どのように育てていくかを検討していきます。