面接官600人の評価基準統一と、選考移行率アップを実現

▲人事本部 新卒採用部/採用企画部 ゼネラルマネージャー 武藤梨恵 様
  • 社名:パーソルキャリア株式会社
  • 業種:人材サービス業
  • 従業員数:5756名(2023年3月現在)
  • GPS-Businessご利用の目的:新卒採用の効率化、採用基準の統一化

<人々に「はたらく」を自分のものにする力を>をミッションに掲げ、「doda」ブランドを展開。人材紹介業をメインに、正社員雇用だけでなく、副業やフリーランスを含めて、「はたらく」にまつわるサービスを複数展開している。
事業規模、採用規模が年々大きくなり、面接官による評価のバラつき、選考の労力の大きさが課題になっていた。

この企業の活用ポイント

  • ・人による評価のバラつきが大きい「思考力」を客観的に測り、面接の評価を支援
  • ・見極めにかかる時間を短縮化し、面接官の負担を軽減
  • ・GPS-Business結果を候補者に個別にフィードバックし、採用CXを向上

導入前の課題

母集団の拡大に伴って、面接官ごとの評価のバラつきが課題に。加えて、面接で見極めづらい「思考力」が採用の重要要素に

新卒採用の全体像をお聞かせください

武藤様:2023年は1000人以上が入社し、そのうち約300人が新卒採用でした。新卒の9割強を占めるのがビジネス職。さまざまなソリューションを活用し企業・個人の「はたらく」に関する課題を解決する仕事です。ほか1割弱は「ポジション採用」。専門性の高い業務を、職種別に採用(新規事業開発職、企画職、エンジニア職、データスペシャリスト職、デザイナー職)しています。技術力が求められる職種でも企画立案から携わることが多く、協働する力や主体性を重視している点が特徴です。
選考フローは職種によって、また年によって少しずつ違いますが、説明会とWebテスト等を組み合わせた1次選考のあと、3回前後の個別面接を経て内定に至る流れが基本です。

選考ではどのような資質・能力を重視していますか

武藤様:当社では全社員が大切にする3つのバリューとして、「外向き」「自分ゴト化」「成長マインド」を掲げています。新卒採用で求めているのも、この考え方を体現できる人材です。加えて、「思考力」「パーソナリティ」「行動特性」等を評価材料にしています。

どのような課題がありましたか

武藤様:GPS-Business導入前の2010年台中盤の時点で、応募者が2~3万人、面接官が数百人という大きな規模。面接官によって評価の観点や合格率に差がある点が課題でした。
また、「思考力」をどのようにして測ればいいのかにも悩んでいました。社名変更を機に採用要件を見直した際、「思考力」重視の方針が打ち出されたのですが、ひと口に「思考力」と言っても様々な要素が含まれています。着目する要素が面接官によって異なっていては、公平な評価ができません。では着目する要素を事前に決めておけばいいかと言うと、それも難しい。例えば「思考力」の中で「クリティカルシンキング」要素を重視すると決めたとしても、抽象的な言葉なので、面接官の解釈にどうしてもバラつきが生じます。当時は面接官ごとの2次選考(1次面接)の合格率に、最大約60%の差が見られました。
実際、面接官からは、「様々な評価項目、特に抽象的な能力を短時間で正確に見極めるのは難しい」との声が挙がっていました。それまで、採用は時間をかけて当たり前という考え方だったのですが、面接官にかかる負担の軽減も図ることになりました。

活用方法

1次選考の評価ツール、面接の評価支援ツール、入社者のデータ測定ツールとして活用

GPS-Businessを導入した狙いをお聞かせください

武藤様:面接官ごとに評価がバラつきやすい「思考力」や「パーソナリティ」について、GPS-Businessのスコアを判断材料に加えれば、バラつきを抑制できるのではないかと期待しました。「思考力」の要素の中でも過去の面接で見極めにくかった、「批判的思考」「創造的思考」が、GPS-Businessでは測定項目に入っています。「パーソナリティ」の測定項目(レジリエンス、リーダーシップ、コラボレーション)も、当社の評価項目と重なっています。
さらに、評価のバラつきを抑えるための当社の取り組みとして、構造化面接の比重を高めました。質問の展開をフローチャート化して全面接官に共有し、面接の内容、評価の統一を図りました。

現在は、GPS-Businessをどのように使われていますか

武藤様:主に2つのプロセスに受検を組み込んでいます。
1つは、ビジネス職の応募者の1次選考です。現在は応募者が長所を生かして十分なパフォーマンスを発揮できるように、GPS-Business受検以外にもグループディスカッション、自己PR動画でのエントリーも可能にしています。受検結果は、1次選考の応募者の絞り込みに活用するほか、2次選考以降の面接で面接官が参考資料として利用しています。面接では、スコアの高さというよりは、スコアと面接官の評価とのギャップに注目してもらうようにしています。面接官は低く評価しているのに、GPS-Businessでは高いスコアが出ている項目があれば、見落としたり聞き逃したりしている側面がないか、面接官がその面接中に再確認します。
もう1つの受検機会は、内定承諾者の入社前受検です。1次選考でGPS-Businessを受検しなかった場合はここで受検します。受検データは採用選考の振り返りや採用活動の改善等に使用しています。
なお採用選考以外では、インターンシップ参加者に受検してもらうことがあります。

成果と展望

面接官ごとの合格率の差が60%から30%まで縮小! 評価時間の短縮が採用移行率にも好影響

GPS-Business導入後、採用活動に変化は見られましたか

武藤様:私たち人事担当者にとっては、社内で「思考力」や「パーソナリティ」を定義づける際に、GPS-Businessの測定項目が役立ちました。「思考力」も「パーソナリティ」も、人によって定義のわかれる言葉です。導入前は、採用に関わる全員がわかるような定義をつくれていませんでした。GPS-Businessを導入して数年間、使われている指標やスコアと受検者の人物像を見比べてきた経験が、当社にとっての「思考力」「パーソナリティ」を定義づける際の参考になりました。

「面接官ごとの合格率の差」は改善しましたか

武藤様:最大約60%あった2次選考(1次面接)の合格率の差が、約30%に縮小しました。2022年に面接官にアンケート調査を行ったところ、特に思考力の見極めにおいて、評価の迷いが減ったという回答が多数を占めました。GPS-Businessのスコアという客観的な測定結果が、評価に迷った際の面接官の判断を支えたことがわかります。
評価の時間が短縮されると、面接官の労力が減るだけでなく、応募者の意向上げに時間を割けます。応募者の疑問や悩みに応えたり、社風や仕事内容の情報を提供したりする時間が増えることによって、応募者の入社意欲が刺激され、選考移行率が高まるという大きなメリットも生まれました。

今後の採用ではどのような資質・能力を重視しますか

武藤様:最近では各企業の課題が複雑化しています。課題解決に必要な「思考力」は、今後もより一層重要になると考えます。
企業からは「この事業をどのように発展させるか」「この組織をどうすれば活性化できるか」といった、より根本的で、答えがひと通りではないオファーが増えています。そのため、ビジネス職の営業活動は、その企業が抱える課題の解決策を考える方向に業務がシフトしています。複雑な課題を解決するには、幅広い視野と「思考力」が欠かせません。

GPS-Businessは今後どのように活用されますか

武藤様:GPS-Businessの結果が加わって入社者のパーソナルデータが充実したことをきっかけに、入社3年後の活躍イメージを予測する取り組みを始めました。まだ分析途中ですが、現在のところ、「コラボレーション」のスコアと定着率との関連などが見えてきています。
また、選考に使うだけではなく、応募学生に、その人が持つ資質や可能性を伝えるためのツールにしていきたいですね。今も受検者には、スコアや講評を含めた結果をフィードバックしています。採用試験の適性検査で、応募者が結果を見られるものは少ないはず。客観的な評価が得られると、学生は自身をより深く理解し、活躍の場を探しやすくなるのではないでしょうか。