キャリアイベントとの連携をはじめ
学生の興味を喚起。
結果はゼミでの指導に活用し、
受検→結果分析→指導のサイクルに繋げる

学生指導 キャリア教育

総合政策学部准教授

藤原 究先生(左)

総合政策学部准教授/総合情報センター長

糟谷 崇先生(右)

導入目的

  • 少人数教育の利点をさらに高めるために、学生の能力を客観的に把握する
  • 学生にキャリアへの意識を高め、深みのある自己分析を行わせる
  • 受検結果はゼミの担当教官が個別に活用しているほか、dodaキャンパスとも連携

point
01

理論にもとづく“テスト”の強み

杏林大学総合政策学部は少人数教育に力を入れている学部です。1年次から4年次まで、すべての学年にゼミ形式のプログラムが用意されており、教員が学生一人ひとりに気を配って指導しています。
学生を個別に指導するには、何らかの指標が必要になります。学生のことを知らなければ、その学生に合った指導はできないからです。一つの指標に頼らず、複数の指標や視点から見つめること、また、学生の主観だけではなく客観的な指標で学生を見つめることでより個性や能力を把握しやすくなります。そうして学生の指導、ひいては教育全体の質が高まっていくはずです。
何か惹かれるものがないか、と考えている中で上記視点を網羅しているGPS-Academicに出会いました。学部で力を入れているキャリア教育と連携させることを考えると、客観的であることはとても重要でした。キャリア系のアンケートは多々ありますが、学生が『コミュニケーション能力があると思う』と自己評価を下したところで、結局どんな力があるのかはよくわかりません。その点、GPS-Academicは理論立ったテストであり、数字でもって学生の能力を把握でき、学生個人は気づきを得るきっかけに、教員は指導する材料にできそうだと期待できました。

point
02

3年生は自宅受検。
学生にメリットを伝え、興味を惹かせる工夫をこらすことで9割近い受検率を達成

2018年度から運用を始め、2019年度は1年生と3年生を対象としました。1年生は授業内で実施し、ほぼ100%の受検率です。「大学で身につけるべき力」を自覚してほしいと考えています。3年生はほぼ全学生が履修しているキャリア系の授業の中で告知を行い、受検自体は自宅のパソコンで。単位所得の条件等、成績に絡めることはしなかったのですが、それでも9割近い学生が受検してくれました。
自宅受検の受検率を高められたポイントは3つです。1つは、就職活動に関する学内行事の参加条件としたこと。この行事は就職活動を疑似体験するイベントで、学生はエントリーシートを提出し、グループディスカッションと模擬面接を受けます。その準備としてGPS-Academicを受検し、自己分析を深めてくるよう、いわば宿題に位置づけたのです。もちろん、単に義務的に押しつけたのではなく、「自力で自己分析するのとは別の視点から長所・短所がわかる」と、自分のためになるものだと訴求したうえで受検を促しています。このメリットをしっかり伝えたことが2つめのポイントですね。授業で指導しているとは言え、3年生はまだ自己分析に不慣れです。自分の強み・弱みもわかっていなければ、進みたい業界も決まっていない学生が大半です。そのため、『こういうテストを受ければ、自分では気づけない長所や短所が見えてくるはずだ』と、メリットを全面に出す形で受検を促しました。
3つめは、受検期間です。長くしすぎることなく、毎週、アナウンスの内容を変えました。最終的な受検期間は3週間設けましたが、最初に『~~までに受けてください』とアナウンスしても、忘れてしまう学生が多いです。そのため学生に告知する締切は早めに設定しました。そして、1週間後の2回目の授業内で『まだ受検していない学生だけ聞いてください』『この1週間で〇人受検しています』『友達に聞いてみてください、みんな受けているはずだから』と、未受検の学生がまだ受検していないことを自覚できるよう説明しました。先にお話したメリットも改めて伝えたことで、ほとんどの学生が2週目には受検をすませたようです。3週目は、それでも忘れてしまった学生のための予備期間としました。

point
03

GPS-Academicで教員の具体的指導をサポート。
キャリアへも展開し学生と企業のミスマッチを減らすことを目指す

受検後の各能力を伸ばすためには、1年次から4年次までゼミが用意されている強みを活かし、ゼミを担当する各教員が指導を任されています。例えば、リーダーシップが取れないAという学生がいる時、あえてグループリーダーを任せます。そしてそのグループに、協働的思考力が高い別のBという学生を入れます。そうすると、Aにグループリーダーとしての成功体験を積ませやすくなります。私たち教員は、単に勉強ができる、任せやすいという理由でリーダーを選んでしまいがちかもしれませんが、客観的な指標を使って教員が指導できれば、こうした日常的な場面で学生の能力を伸ばすこともできるはずです。
今後は指導に上手く使っていっている教員の指導ノウハウを全体に共有しながら、よりよい指導ノウハウを蓄積していきます。また、dodaキャンパス連携も進めていきます。アセスメントを受検するだけでは終わらないことで、学生による活用も深まります。企業のあり方が多様化していく中で、学生と企業のミスマッチの問題が深刻化しています。だからこそ、客観的なテストでもって自分のことを深く知り、納得した進路を見つけることが重要でしょう。GPS-Academicを共通項に、学生と企業がうまくつながっていってくれたらと思います。