point
01
キャリア教育の一環としてアセスメントを活用し続ける
本学は2004年からベネッセのアセスメントテスト「自己発見レポート」を導入し、これまで活用してきました。当時は学生の就職率が全国的に低迷していた時期。学生を社会的・職業的に自立させるために、学生が自身のキャリア意識を高め、自己分析の糧になるよう、新たなキャリア関係科目とともに導入したのが始まりでした。
その後、キャリア教育を専門とする教員を採用したり、アセスメントテストのデータを蓄積した教職員向けのポータルサイトを整備したりするなど、アセスメントテストの活用もキャリア教育も少しずつ発展していきました。ベネッセのアセスメントテストが自己発見レポートから「大学生基礎力レポート」に切り替わった後も継続し活用。2018年には「GPS-Academic」を導入しました。他社のアセスメントテストを導入する案も出ていましたが、思考力という汎用的な資質を測れる点に加え、これまでに実施してきたアセスメントテストと共通の質問事項があることに惹かれ、最終的に「GPS-Academic」を導入することになりました。同社のアセスメントテストであれば、15年蓄積してきたデータを活用できることも大きかったですね。
point
02
学生がより気づきを得やすく、学内活用も促せる体制に
2019年度からは1年生を対象にアセスメントテストを実施。本学は自己発見レポートの時代、2004年度から、入学前に自宅で受検させています。受検率を高めやすいですし、入学してすぐに指導に生かすことができます。おかげで受検率は例年ほぼ100%。また「GPS-Academic」からパソコンで受検できるようになったため、問題用紙の発送をはじめ、事務的な負担は大きく軽減されました。
実施後のフォローとして課外講座のガイダンスを用意していましたが、2020年度以降は1年次の基礎ゼミを通して解説を行えないかと考えています。その際、キャリア教育を担当している教員や職員による面談を行うことや、結果レポートに一言コメントを添えて返却することも検討中。いずれにせよ、ただアセスメントテストを実施するのではなく、学生に気づきの機会を与えられるよう、何かしらのフィードバックを行う予定でいます。
本学のキャリア教育は1年次の「キャリアデザイン」、「コミュニケーションスキル」、2年次の「プレゼンテーション入門」、「論理的思考力入門」に加え、インターンシップや企業と連携したPBL(Project Based Learning)などで構成されています。本来キャリア教育とは、単なる就職支援ではなく、社会で学び続ける姿勢を身につけるもの。本学のキャリア教育がそうした役割を果たせているのか、また今後どのようにあるべきか、アセスメントテストを通して考えていければと思います。
入学前に受検させ、入学後すぐにその結果を解説し、キャリア関連科目の履修につなげる。この過程で、汎用的能力を高め、学修に対する姿勢を身につけ、その後のゼミナール活動も活発に行なってくれることを期待しています。
また、現在IRを担当している教育・学習支援センター(SCTL)が、2020年度からキャリア教育も管轄することが決まりました。これで同センターがアセスメントテストに関するIRも、入学前教育やキャリア教育、それにFDにも関わることになります。教職協働をより活発にし、全学的に、組織的に取り組みを進めていけるでしょう。学外への情報発信も、積極的に行っていきたいです。
※本事例においては、初等・中等教育機関での学びを「学習」、高等教育機関での学びを「学修」と表記しております。