大学の出口を見据え
学生の“気づき”の機会をつくる

教学改善 学生指導 キャリア教育

FD委員長

渡部 佳美先生

総合学生支援センター長

下岡 里英先生

キャリアセンター長

細田 みぎわ先生

入試部長

田頭 紀和先生

導入目的

  • GPA以外の多様な目標を学生に提供するため
  • 大学の出口と関連した視点から教学改革を加速させるため

point
01

出口との親和性こそ最大の特徴であり、惹かれた点

本学は以前からベネッセ i-キャリアの「大学生基礎力レポート」をキャリアセンターが主体となり受検させていました。当時のアセスメントの目的は、大学生活の早期においてキャリア形成に活用することでした。そのため1・2年生のみを対象としており、受検結果を学生のキャリア形成に役立たせるためにガイダンスや自己分析に活用させることが中心でした。キャリアへの活用は十分に行えておりましたが、得られた集団データを分析して何らかの改革に率先して役立てる、ということはしておりませんでした。
そんな時、大学生基礎力レポートのデータを教学改善に使えないか?と思いベネッセ i-キャリアの担当者に質問した際に紹介されたのがGPS-Academicでした。以前からGPS-Academicは大学生基礎力レポートの後継にあたるアセスメントと聞いておりました。ですので、始めは単純なアセスメントの乗り換えのつもりで内容を聞いていましたが、よく聞くとGPS-Academicで測る思考力、姿勢・態度、経験の測定項目は、大学の出口、つまりは卒業後に活躍するうえで必要な力により直結しているものでした。実際、本学と関わりの深い企業に協力してもらった調査では、学生の能力として重視するものとして、GPS-Academicで測る批判的思考力やレジリエンスによく似たものが挙げられていました。
この説明を聞き、アセスメントに大学の出口との関連性を見出し、その活用方法も、これまでとは違ったものを考えました。一つは、学生に対する新たな目標の提供です。例えば4年生にGPS-Academicを受検させて、最終的な就職先と突合して分析・可視化をする。そうすると、「この分野に就職した学生はこうした能力が高い」と数値で表すことができます。それはGPAとは違った、別の有効な目標になるでしょう。同様に、我々がどのような人材をどのような方法で育成するのか、各種ポリシーや入試など、様々な教育内容を見直す指標にすることもできます。
このように、これまでよりも活用の幅の広さを感じたことが、単なる乗り換えではなく、より前向きにGPS-Academicを導入した理由です。

point
02

思い切った導入だからこそ、学生に還元できるものも多い

2020年度に導入したGPS-Academicですが、初年度から全学年で実施しました。我々が重視したのは、出口を見据えた改革です。1年生のみ実施し、その学年が段階的に学年を上げていく4年間を待つのでは時間がかかりすぎる。一方で、各学年間での成長の度合いを測ることも重要ですし、学生には大学にいる間に目標を与えてあげたい、と考えました。そこで、この二つを満たすために導入初年度から全学年での実施に踏み切りました。
その2020年度、思いもよらなかったのはコロナ禍です。PBTの大学生基礎力レポートだと実施すらおぼつかなかったと思います。本学ではCBTのGPS-Academicに切り替えていたので自宅受検を中心に安全に実施できたことも思わぬ恩恵でした。
まだ初年度ですので、データを十分に整理することはできていません。ただ、全学年で学期初めに実施している教員との面談では、すでに活用しはじめています。学生に感想を聞いてみると、「自分に対して発見があった」「自分がイメージしている自分像とギャップがあった」と、自分を見つめ直すよい機会になっているようです。
一方で、教員に対してはFDという形で、ベネッセ i-キャリアの社員に協力してもらい、データについての講習会を行ってもらっています。学内でのデータ整理はまだですが、ベネッセ i-キャリアの力も借りながら、アセスメント自体の浸透と一層の活用を図っていきたいと考えています。
また今年度の全学的な取り組みとして、DPとGPS-Academicで測る各項目の関連付けにも手をつけています。今後、DPと各科目の内容を再考していくにあたって、GPS-Academicが一つの指標になるでしょう。
このような形で、GPS-Academicの導入はその効果を様々な面に波及させつつあります。今後は、大社接続の出口データだけでなく、高大接続に関わる入試検証や入学前教育の活用など、より一層活用が広がっていく筈です。そう思い、今後の活用とともに、このアセスメントに期待を寄せています。

seminar videos

セミナー動画

  • 2020年度 GPS-Academic活用オンライン研究会
    ~学生・大学への効果を最大化する活用方法を考える~
    「CBT アセスメントの活用でコロナ禍でも学生の気づきを創り出す初年次キャリア教育の一歩」