面談に客観的定量データを活用し
学生一人ひとりを理解することにより
学修者本位の教育の実現へ

教学改善 学生指導

植草学園大学副学長・教学改革推進センター長

桑名 俊一教授

学園事務局総務課・教学改革推進センター IR部門

飯田 勇輝様

導入目的

  • 学生との面談に活用し、学修支援を促進する
  • アセスメント結果を分析し、学修意欲を維持する工夫を模索する
  • データを授業改善に活用し、学修者本位の教育を実現する

point
01

面談にデータを取り入れることで、学生サポートの拡充を実現。

植草学園大学は発達教育学部、保健医療学部の2学部を設置した私立大学です。発達教育学部は主に保育士や小学校教諭・特別支援学校教諭として活躍する人材の育成を、保健医療学部は理学療法士や作業療法士として社会を支える人材の育成をめざしています。さらに、植草学園短期大学のこども未来学科では保育士や幼稚園教諭の育成に力を注いでいます。
本学は2020年度よりアセスメントツール「GPS-Academic」を導入し、その活用を始めました。このアセスメント結果を学生面談に取り入れ、きめ細やかな支援につなげている点が特徴です。本学は、これまでも年2回の定期面談に加え、悩んでいる様子が見られる学生には積極的に声をかけて学修や進路についての相談に乗るなど、手厚いサポートを行なってきました。面談の際は学生の履修記録や授業成績などを資料にしていましたが、これにアセスメントの結果を加えることで、学生の個性や置かれている状況をより多角的に把握できるようになりました。
さらに、面談に客観的データを交えることで、学生がアドバイスを受け入れやすくなったというメリットも感じています。大学生は精神的に大人ではありますが、経験が浅く、深い自己理解ができているわけではありません。思い込みだけで「自分は、こうだから」と主張する学生も少なからずいます。アセスメントツール導入後は、定量的なデータを交えて話すことで、「こういう視点でも考えることができるのでは?」という提案を、説得力を持ってできるようになっています。
また、中には自己肯定感に乏しい学生もいますが、「こういう能力は高く評価されているから大丈夫」など、データを示しながらアドバイスすることで、学生を勇気づけ、後押しすることができるようになりました。このように、アセスメント結果は、主観的な自己像と客観的な自己像のズレを明らかにし、それについて教員と学生本人がディスカッションするための有効なツールだと言えるでしょう。
さらに、アセスメントツールの中で実施する「学生意識アンケート」も学生支援の役に立っています。特に2020年度はコロナ禍ということで、学生と対面する機会が減りましたが、アンケート結果を見ることで、学生の不安を把握することができました。
なお、本学では希望があれば保護者面談も実施しており、学生の成長について説明する際にも、アセスメントの結果を活用しています。これは保護者と学生本人の会話のきっかけにもなっているようです。

point
02

データをIRで分析。学修意欲向上の施策、学修者本位の教育につなげる。

今後はアセスメントの結果をIR部門で分析をして、教育改善に活かしていく予定です。初年度の結果分析は、すでに着手しています。アンケート項目に因子分析をかけたところ、新入生のペルソナが明らかになってきました。例えば、新入生は単位が取りづらい科目であっても、興味があればそれを履修し、積極的に学修しようという意識が見られました。このモチベーションを高く維持するしくみを設ければ、学生は主体的に学びに向かうようになり、学修の質を高めることができるでしょう。学生主体の教育の実現につながるのではないかと考えています。
さらに一歩踏み込んで、授業内容の再構築や教授法の改善も図っていくつもりです。そのためには、「今、本学が提供している授業・教育活動が、学生の汎用的能力の伸長にどうつながっているのか」を明らかにしていく必要があるでしょう。また、既存科目の連携を強化し、カリキュラム全体の教育効果を上げていくことも欠かせません。これを実現するためにも教学改革推進センターにおいて、さらにデータを蓄積し分析することで、これまで以上に「学生の成長につながる教育」を展開していきたいと考えています。

GPS-Academic結果を活用した面談の様子

GPS-Academic結果を活用した面談の様子

大学・学生の声

  • 保健医療学部 
    1年生学生

    受検中は楽しく回答できていたが、思考力が自己評価よりも高かった。
    リーダーシップなど前に出るのは元々苦手なタイプと自覚している。
    改めて視覚化されたことで、考えるきっかけになりそう。

  • 発達教育学部准教授
    川口由起子先生

    アセスメント結果という客観データがあることで、多角的な視点で学生と話し合えるようになりました。学生本人の納得感も増していると思います。

  • 保健医療学部助教
    松岡瑞雄先生

    客観的なデータを示しながらアドバイスすることで、これまで以上に学生を勇気づけ、後押しすることが可能になったと感じています。

  • こども未来学科教授
    松原敬子先生

    アンケートで悩みを抱えている様子が見られた学生には、すぐに連絡を取って面談し、不安を取り除くことができています。

GPS-Academicを活用した主体的学修者育成モデル

GPS-Academicを活用した主体的学修者育成モデル