社会の問題解決に力を発揮する「批判的思考力」「協働的思考力」「創造的思考力」。これらの思考力は大学生活での学びにどのように関わっているのでしょうか。ここではレポート作成や発表の例をもとに見てみましょう。
「問題解決に思考力が必要」といっても、なかなかピンとこないかもしれません。チームで取り組む問題解決の場面で思考力をどう活かすべきでしょうか。大学での活動のうち、チームで行う問題調査とそのレポート作成と発表を例にして、思考力の重要性を紹介します。「なんとなく」問題解決を行うとどうなるか、と比べながら確認していきましょう。
▼目次
調査を進めるにあたって、課題となっている背景や調査の進め方についてチームで協力しながら検討を進める。
課題が何かをはっきりさせることができる
「成績が良いってなんの成績?」
「高校生?大学生?対象はどうする?」
チームで課題を共有することができる
「課題をみんなで共有しよう」
「他の人の意見も取り入れよう」
課題の解決策を考えることができる
「どのように調査をしようか」
「他の授業で使った“アンケート”って手もあるな…」
「とりあえずネットだ。『成績 向上法』で検索して出てきた方法で確かめればいっか…」
結局、調査を進める中で、目的や課題が暖味なままに進み議論が収束しないことに…
調査を進める際には、インターネットで調べるだけでなく、実地調査など様々な角度からできる限り多くの情報をもとに検討する。
調査の仕方を考えることができる
「調査のために何人くらい集めればよい?」
「ブログは加工されている情報だからそのもとになっている情報を集めよう」
情報の収集について意見を出し合うことができる
「アンケートの質問は、だれが見ても理解できる内容になっているか?」
情報を整理して別のアイデアを出すことができる
「アンケートだけでは本音を引き出せないから、定性調査としてインタビューもあわせて行おう」
「それっぽいブログの記事があったからこれをそのまま使おう!」
偏った情報を発信していたSNSやブログだけを情報源としたため、全く見当違いの結末に…
収集したデータを正しく分析するために、ポイントを整理し結論をまとめていく作業を進める。
データを正しく分析することができる
「成績といっても、 テストの順位だけでは正しく比べられないな…。 他の観点からも分析しよう」
チームで議論し、意見・考えをすり合わせることができる
「その判断は、因果関係が逆になっているのでは…?」
情報を集め新たな気づきを得ることができる
「この件について論文があるな。執筆者の専門家に話を聞きに行こう!」
「どの情報が正しいかわからない…」
データの優先順位がつけられず途方にくれることに…
発表するときの表現方法·わかりやすさについて考える。また、チームのメンバーの得意·不得意を考慮し、役割分担をする。
わかりやすく論理立てて説明することができる
「このデータは量を比較しているから棒グラフで示す方がよいな」
「結論から報告した方が、 全体の内容が伝わりやすいなぁ」
報告を受ける相手の立場に立って考えることができる
「一人で発表するより、パートごとに報告者を変えた方が飽きずに聞いてもらえそう」
表現方法をエ夫することができる
「インタビュー部分はリアリティを出すために動画を使おう」
「整理した情報は全て盛り込もう!」
発表時間を大幅に超え、内容も結論がないものに…
どうすればもっとよい報告ができたのか、不足や不備はないか、次はどうすればよいか考える。
改善点と次の課題を検討することができる
「このサンプル数では結論を出すのに無理があった…。次回はより多くのサンプルを集めよう」
チームで振り返ることができる
「企画の段階で役割を決めていればもう少し効率的に調査できたのでは?」
他のアイデアを考えることができる
「今回は高校生で調査を進めたけれど小学生や中学生を対象にするとまた結果が変わる可能性があるね」
「とりあえず発表が終わったからよかった…。おつかれさま!」
次も同じような結末をたどることに…
大学での学びに、思考力がどう関わっているのかが理解できたでしょうか?
また進路を決めるときや就職活動時、社会に出てからの仕事など、問題解決の際に思考力は重要になってきます。
他の「思考力レクチャー」や「思考力トレーニング」にもぜひ取り組んで、思考力を高めていきましょう。