GPS-Academic Global Proficiency Skills program

ご活用事例

GPS-Academicのご活用場面

GPS-Academicはアセスメントツールとして、「教育活動成果の可視化」
「入試改革や教学改革、大学認証評価に必要な基礎データの収集」「学生の動機づけ」等、
さまざまなシーンでお役立ていただけます。

ご活用事例

「アセスメント活用研究会
~学生成長に寄与する学習成果の可視化をめざして~」

レポートはこちら

敬愛大学

学生の成長を可視化し、
学修の動機づけを

学長/教授
三幣 利夫 先生

導入目的

取得単位数やGPAだけでは把握することが難しい学生の成長を、汎用的な思考力の可視化を通じて捉える
受検は1・3年生を対象とし、思考力に明確な差が見られるかを検討する
学生自身が学修の振り返りを行う独自のアンケートを実施
1・3年生の思考力の一部には明確な差が。何が学生の成長に影響を与えているのかを検証し、さらなる成長を促す取り組みへと発展させたい

多角的な視点から学生の成長を可視化する

 GPS-Academicを導入する以前から、学生の成長を可視化するための指標が必要だと考えていました。取得単位数やGPAはもちろん参考になりますが、例えばコミュニケーション能力、思考力など、それだけでは把握しきれない成果があるはずです。それらを多角的に把握するには、別の指標も必要でした。
 アセスメントテストの導入を検討し、最終的な候補に残ったのがGPS-Academicでした。汎用的な能力を測るため、どの学部・学科でも活用でき、学修への姿勢・態度や経験まで幅広く問えること。これらが決め手となり、2018年度に初めて実施することになりました。

学生自身が強みに気づき、刺激を受けるように

 受検の対象としたのは1・3年生です。所属しているゼミ単位で行いました。少しでも受検率を高めるために、ゼミの担当教員のアナウンスはもちろん、構内の掲示板、学内ポータルサイトにもお知らせを掲載し、受検しなかった学生には予備日での受検を促しました。ゼミ科目の成績評価には反映はしませんでしたが、受検率は全体で9割を超えました。
 また、GPS-Academicの導入に合わせて、経営学科で進めていた「振り返りシート」の取り組みを全学へと広げることになりました。学部・学科の学びや単位の取得、学期を振り返っての満足度を学生自身に振り返らせるアンケートです。ここにアセスメントテストについての質問も加え、学内ポータルサイトを通じて記入を促しました。
 振り返りシートを記入した学生には、成長した点や伸びしろのある点、今後の過ごし方について、必ず教員からフィードバックを行います。希望する学生には面談も行い、GPS-Academicの結果を参考にしながら、今後の学びや学生生活、進路についての相談に応じました。
 振り返りシートを通じ、GPS-Academicに対する学生の反応も把握することができました。例えばコミュニケーション能力、論理的思考など、自分では気づかなかった長所・短所を把握することができたという声が多かったです。一方で、「どのように勉強すれば力を伸ばすことができるのか、どのような経験をすればよいのか知りたい」という今後の学びに前向きなコメントもあり、実施後のフォロー体制をどう作っていくかが、今後の課題になります。
 まだデータの詳細は分析しきれていないのですが、1年生と3年生では、協働的思考力以外の2つの思考力について明確な差が見られるようです。何が要因になっているのか、カリキュラムや履修科目など、様々な点から考察し、今後の教育に生かしていく予定です。振り返りシートや面談時の指導方法も改善し、学生の成長を促す環境をさらに整えていく考えです。

学修成果には様々な要因が影響を与えると考えられる

振り返りに新たな目標設定を加えることで、学生自身が意欲と資質を高められるように

北海学園大学

学生、教職員ともにアセスメントへの理解が徐々に浸透
客観的な評価ベースの取り組みを促す

事務部 学習支援システム課
中本一康 課長(左)竹田直弘 主任(右)

導入目的

結果を個別に学生へフィードバックすることにより、学生生活の振り返りや学びの動機付けを行う
フォローアップ講座でキャリアへの意識を醸成する
学修成果を客観的なデータで可視化し、教学IRにつなげる

アセスメントの実施形態をCBT形式へ移行し、職員の労力を大幅削減

 本学では2018年度のGPS-Academic導入に先駆けて、同じベネッセi-キャリアの「大学生基礎力レポートⅡ」を導入していました。2年間の実施により同アセスメントの学内認知が高まっていたため、「詳細なデータやアドバイスを記した帳票により、学生が自身の強み・弱みを振り返り、今後の学びやキャリアの指針にできる」「入試形態やGPA等、他のデータとの紐付けや、他大学の学生との比較により、教学IRに資するデータが得られる」といった同様の特徴を引き継ぐGPS-Academicの導入は、スムーズに進みました。GPS-Academicはアセスメントとしての性質がより強く、客観性の高い能力測定がなされるため、学生にとっても大学にとっても、俯瞰的に学生の位置を確かめられる点に期待が持てました。
 一方、GPS-Academic導入を機に学内におけるアセスメントの実施形態をPBT形式からCBT形式へ変えることは悩んだ末の決断でした。ネットにつながったパソコンがあればいつでもどこでも受けられる利便性はメリットである反面、教室に学生を集めて受検させる方法に比べて受検率の低下が懸念されました。しかし、教務が導入しているWEB履修登録システムの9割以上が学外のパソコンからのアクセスであることをふまえ、導入を決断。結果、任意受検ながら76.4%と、これまでと同等の受検率を確保できたばかりか、運営担当者の負担も大幅に削減することができました。PBT形式では複数名が奔走していましたが、CBT形式では実質1人の担当者が大部分の業務をまかない、余剰分の労力を学生のフォローにあてることもできました。

アセスメントへの理解が浸透し、学内での結果活用の場が広がっている

 本学は、「大学生基礎力レポートⅡ」とGPS-Academicの実施を合わせれば3年目となります。2018年度は、結果報告会を各学部の教授会で行うことができ、アセスメントに対する教員の理解が進んできたことを嬉しく思います。活用に積極的な経営学部では、学部が保持している出席や成績等のデータとGPS-Academicの結果をリンクさせて、カリキュラム改革の基礎資料としています。また人文学部では2年次初頭の実施を「初年次教育の効果測定」と捉え、教育内容の見直しに活用しています。こうした学修成果を客観的なデータで可視化し、教学IRを行っていく動きをさらに他学部に波及させることが2019年度の目標の一つです。また、学生の感想を見ると、「大学の授業が、思考力の養成に役立つことがわかった」「社会で求められる力のイメージがつかめ、弱点を補う意欲がわいた」など、学生生活の意義をかみしめ、意欲が喚起されている様子もうかがえます。今後は受検率をさらに向上させるとともに、入学直後のタイミングなど受検機会を増やすことを検討していきます。

保護者に送付している受検案内:受検の意義を告知するほか、費用は大学負担であることを伝え、実施期間などを記した書類を同封している。これにより、保護者からも受検を促してもらうようにしたところ、「我が子にぜひ受けさせてほしい」といった声が多数寄せられた。

明治大学

「思考力」という指標を、授業の効果検証や
学生への指導に役立てる

商学部 商学部長/教授
出見世 信之 先生

導入目的

ゼミナールやアクティブラーニング形式の授業の効果検証のツールとして
入試形態別に学生の傾向を可視化し、強みを伸ばす教育を検討するため
従来の評価システムに加え、「思考力」を客観的に評価できる環境を整えるため

学生が身につけた力を客観的に評価できる、新たな指標を求めていた

 明治大学商学部は、「世界で活躍できるビジネスパーソンの養成」を目指し、先進的な学部改革に取り組んでいます。カリキュラムの特徴は、2年次からの「演習教育のダブル・コア化」。商学部の専門ゼミと教養・総合科目系のゼミを同時に履修できるようにすることで、多角的な視点を養います。さらに、1年次に開講している「フューチャースキル講座」にも力を入れています。この授業では、企業が実社会で直面している課題を学生に提示。学生はグループで解決策を検討し、まとめ、発表します。
 こうしたゼミナールやアクティブラーニング形式の教育現場で重要になるのが、学生たちがどのような力を身につけたのかを客観的に評価する基準です。学部独自のGPAだけで効果検証をするのは、無理があると感じていました。そこで、何かいいアセスメントのようなものはないかと探していたところ、GPS-Academicの存在を知り、導入に至りました。

1年生はほぼ全員が受検。3年次に再度受検させ、授業改善につなげたい

 今回(2018年4月実施)は、商学部1年生ほぼ全員にあたる約1,100名がGPS-Academicを受検しました。「新入生ガイダンスの場で受検の意義を説明したこと」、「ただのアンケートではなく、学生個人にフィードバックがあるアセスメントであると伝えたこと」が高い受検率につながったと考えています。
 GPS-Academic導入の長期的な目的は授業改善での活用ですが、まだ入学当初の受検データしかない現在においては、まずはデータをもとに各学生の入学時の強み・弱みを把握していきたいと考えています。例えば商学部には、スポーツ特別入試や商業高校出身の生徒を対象にした公募制特別入試など、一般入試以外にもさまざまな入試形態で入学してくる学生がいます。彼らの強みを刺激し、伸ばしていく教育を検討するうえで、いわゆる「入試のための学力」以外の客観的な指標が役立つシーンがあります。
 今後は、商学部の学生全員を対象に1年次・3年次にGPS-Academicを実施する予定です。取得したデータは、前出のゼミナールやアクティブラーニング形式の授業等を通じ、学生たちがどのような力を身につけたのかを測る客観的な指標として活用し、FD活動に役立てることを考えています。
 従来の学部独自の評価システムに加え、GPS-Academicのデータを活用しながら、ビジネスの世界でますます求められる「思考力」を客観的に評価できる環境を整え、授業改善の議論に役立てていくつもりです。そして、「社会課題を解決したい」と真剣に考える学生たちに選ばれる学部であり続けたいと思います。

企業と連携した課題解決型授業「フューチャースキル講座」では、情報収集のためにグループで調査やヒアリングなどを行うこともある。こうしたアクティブラーニング形式の授業の効果検証にも活用する予定。

成城大学

学習成果の可視化から入試制度改革まで、
GPS-Academicの結果を学内データと組み合わせて、
教学IR活動全体の議論を盛り上げるツールとして活用したい

副学長/教育イノベーションセンター長/経済学部教授
杉本 義行 先生

導入目的

学生個々の思考力や学習意欲などを多面的に可視化するために
入試経路別の学生の傾向を思考力の観点から可視化するアセスメントとして導入
学習成果の可視化を実現し、教学IR活動につなげるツールのひとつとして活用

学習成果としての汎用的能力の指標の導入とその活用
GPS-Academicと入試データで学生の多様性を検証

 2018年度からの第3期認証評価では、実際に内部質保証システムが機能しているかが問われています。PDCAを機能させるためには、学習成果の測定が最大のポイントとなります。本学では汎用的な能力指標について4年ほど前から外部試験を導入しましたが、後に述べるようにうまく機能しませんでした。学内的に納得感のもてる指標はないかと模索するなかで、提案を受けたのがGPS-Academicでした。
 導入の決め手は3つあります。 ①CBT(Computer-Based Testing)だったこと ②思考力を測れること ③ロジックに納得感があったこと。 ①については、受検に対する学生のストレスが少ないことを重視しました。今回(2018年4月実施)は、オリエンテーション期間に学部ごとにPC教室で実施したところ、全学部の新入生1000名超が受検し、高い受検率を達成できました。 ②については、これまで採用していたアセスメントが社会人基礎力の評価に寄りすぎていて、学習成果としての納得感が教員間で低かったことが背景にあります。そのため、大学が本来、育成しようとしている思考力や学習への意欲を可視化できるGPS-Academicへの教員の違和感は少なかったと思います。 ③は、このアセスメントは京都大学楠見孝先生の認知心理学の理論をベースとしており、参照集団が大学生であることもこのアセスメントに対する納得感につながったと思います。
 通常、思考力について、様々な方法で評価し評点として記述するわけですが、GPS-Academicでは、「批判的思考力」「協働的思考力」「創造的思考力」と3つに分類して評価する点も魅力的です。このスコアと入試経路を紐付けると、3つの思考力の観点から学生の多様性を分析することも可能となるからです。

1年次、3年次にGPS-Academicを実施し、学生の成長度合の検証にも活用したい

 今回のGPS-Academic受検データを活用して、本学のIR担当職員が入試経路別の学生の傾向を分析し、学内で報告しました(図A)。分析では、指定校推薦・AO入試方式では「創造的思考力」が高い学生が集まっていることなどが明らかとなりました。従来、入試経路別の分析はGPAとの関係が中心であり、新鮮な問題提起と受け止められたのか、出席者から質問が相次ぎ、反響に驚きました。また、ある学部からは教授会で報告してほしいとのリクエストもありました。このように、アセスメントの導入が入試制度や教学に関する学内の議論の起爆剤となれば幸いです。
 今後は、全学生が1年次、3年次に受検する体制を整え、思考力の伸びについて検証していきたいと思います。また、新入生・卒業生アンケートといった様々なデータと組み合わせることで、教学IRにおける評価指標のひとつとしてGPS-Academicを活用していきたいと考えます。このことは、「科学的研究を基とする教育」という成城学園の建学の精神につながるものと考えます。

図A : GPS-Academic受検データと学内の入試データをかけ合わせて、入試経路別の傾向を分析した報告書

工学院大学

理工系学生にも不可欠な「思考力」の可視化や、
学生のポテンシャルを入学前に把握するツールとしても役立てたい

国際キャリア科 教授/教育開発センター 所長
吉田 司雄 先生

導入目的

理工系学生にも不可欠な「思考力」を可視化するツールとして
入試経路別の学生の傾向を可視化し、入学前教育の改善に役立てる
GPAでは測れない各学生の強みを把握し、目標設定の指針とする

文系だけでなく理工系の学生にも「思考力」「表現力」が求められる

 AIが活躍する次世代の社会では、人間の職業が大きく変わると言われています。学生たちが羽ばたいていく社会でどのような人材が求められるのか。これは、我々のような理工系大学共通のテーマです。
 工学院大学では、この高度IT化・グローバル化の時代を「生き抜く力」の養成に力を入れています。大切なのは、理工系の学びを通して鍛えた「思考力」、そして「表現力」だと考えています。せっかくの専門知識も「考えて応用する力」「発信して周囲を巻き込む力」がなければ、社会にインパクトを与えることはできません。文系の学生に必要だと思われがちな「思考力」や「表現力」は、理工系の学生にこそ必要なのです。
 そこで工学院大学では、1年次から論理的思考力を鍛える「ロジカルライティング」という共通科目を設置。それを2年次以降の「キャリアデザイン科目」と連携し、早期から「思考力」と「表現力」の土台づくりを行っています。こうした科目群において、必要になるのが身につけた力を評価するための指標です。そこで、「思考力」の評価基準を持つGPSに興味を持ちました。

入学前教育で各学生の「強み」を把握し、それを伸ばす取り組みに役立てたい

 今回(2018年実施)は、入学前教育の一環として、AO・推薦入試の入学予定者を対象にしてGPSを実施。CBT(Computer-Based Testing)方式を利用して、すべて自宅のPCで受検してもらい、大きな問題なく終えることができました。この段階での実施にはもちろん理由があります。GPSでは、「創造性」や「行動力」など、学業の成績にあたるGPAだけでは見えてこない各学生の強みを把握できます。今回の受検結果からも「思考力」と「パーソナリティ」を軸とした各学生の傾向を見ることができました(図B)。こうしたデータを用いて、各学生のポテンシャルを活かすために何が必要なのかを早期に提示し、入学前から伸ばしていけるシステムの構築をめざしたいですね。
 昨今、入学生から「将来の夢が見つけられない」という悩みをよく聞きます。将来を見据えるには、まず自分の強みを把握し、それを伸ばしながら、自信をつけることが第一歩。GPSは、将来の目標設定のコンパスとしての役割も担えるのではないかと思っています。

図B : 思考力×パーソナリティ(課題に向き合ったときの姿勢)を軸としたクロス集計を実施。その結果から今後の学生の指導方針を検討
※データはイメージです

慶應義塾大学

医療人に不可欠な「考える力」を
学部全員受検で客観的に把握する

医学部 専任講師/理学博士
久保田 真理 先生

導入目的

思考力を鍛えることを重視した、1年次の化学の授業の効果検証のため
上記授業の改善に使用するため
学生に現段階での自分自身の思考力の程度を認識してもらい、思考力を育むことを意識して学生生活を送ってもらうため

「考える力を伸ばす」ための授業とGPS-Academicの評価基準に親和性の高さを感じた

 医学部の初年次教育のうち、私が担当する「化学Ⅰ」「化学実験」という必修科目でGPS-Academicを活用しています。初めて導入した今回(2018年4月実施)は、授業時間を利用して1年生全員に受検してもらいました。以前より「考える実験」と題して、化学実験を通して考える力を鍛えるトレーニングを行っています。テーマに応じた実験方法を自分たちで考え、「なぜそうなるか?」を掘り下げた考察を行う授業です。
 難関と言われる慶應義塾大学医学部には、優秀な学生が集まるものの、インプット中心の考え方から脱却できていない人も多いのが実状です。つまり、知識を暗記して正解にたどり着くことはできても、「この方程式は本当に正しいのか」「この実験方法で本当に正しい結果が得られるのか」といった問いには答えられない。こうした思考停止状態を打破するために、初年次教育として「考える実験」のような授業を行っているのです。
 ただし、「考える力」「思考力」を評価するのは難しく、その方法を探していました。GPS-Academicは、その評価基準に授業との親和性の高さを感じ、今回の導入に至りました。

1年次のうちに再度実施し、学生たちの思考力の伸びを検証したい

 大学の学びは高校までのそれとは違い、暗記した知識自体よりも、それをつなげて応用していくための思考力が重要です。もちろん、これは医療人をめざす医学部の学生にも欠くことのできないもの。例えば、血液検査の結果やX線画像を見て、さまざまな病気の可能性を検討し、患者の声や別の検査の結果を分析・解析して原因を突き止めていくプロセスでは、批判的思考を繰り返し、常に論理的に判断していくことが求められます。そして、そのプロセスは化学及び化学実験の授業で「なぜ?」を追究していく取り組みと根は同じと言えます。
 今後は、1年次のうちに再度GPS-Academicを実施し、思考力の伸びを検証したいと思っています。その結果を「考える実験」をはじめとする授業の改善に役立て、医療人にとって不可欠な思考力のさらなる育成につなげていきたいと思います。

岩手県立大学

評価から教育内容を変えていく――
GPS-Academicを授業設計にも役立てたい

看護学部 准教授
工藤 真由美 先生

導入目的

看護学教育認証評価の制度化にあたり、質保証の客観的指標として採用
新たに策定するDP(※1)・CP(※2)を検証するアセスメントとしても期待
「思考力」を養う基礎教養科目の到達状況を可視化するツールが必要だった

新たなDP・CP策定のための学修目標を設計する際の根拠として、4年生から導入開始

 超高齢化社会を迎えた日本において、看護職へのニーズはますます高まっています。看護系大学・学部は、2018年4月に全国で266校・278課程となり、ここ30年間でその数は25倍に増加しました。こうした背景を受け、大学で行う看護学教育の質保証に大きな関心が集まっています。岩手県立大学看護学部でもDP・CPを再検討し、教育の質保証と独自性の追究に力を注いでいます。
 DP・CPを再検討するにあたり、現状を把握するための客観的な指標が必要になります。そこで、従来のアセスメントとは違う、学生の思考力や姿勢・態度などを評価できるツールを探していた中で、学会発表をきっかけにGPS-Academicへ興味を持ちました。
 まず、2017年7月に当時の看護学部4年生全員にGPS-Academicを受検してもらい、岩手県立大学の教育によって身についた素養を分析しました。GPS-Academicのほか、参考にしたのは看護系大学協議会が示した「看護学士課程教育におけるコアコンピテンシーと卒業時到達目標」に関する各学生の間接評価、1年から4年までの実習経験などのデータなどです。これらを根拠としながら、岩手県立大学看護学部が輩出する看護師が身につけるべき力を6つに分類し、それを新たなDPの学修目標に反映しました。

3ポリシーに加え、アセスメントポリシーも設定し、
GPS-Academicの客観データも活用しカリキュラム改善に活かす

 近年は、AP(※3)・CP・DPの3ポリシーを策定する際に、授業内容や学修成果を検証する「アセスメントポリシー」も重要になります。そこで、新たなDPに掲げた6分類の到達目標のうち「DP1 学びの主体者となり、クリティカルに思考し、論理的に表現できる」に関する分類を評価する指針としてもGPS-Academicを導入しています。導入の決め手になったのは、「考える力」を直接評価で可視化できることです。例えば、1年次開講科目の「基礎教養入門・学の世界入門」の到達目標は、「クリティカルシンキングを基盤に読むこと、書くこと、発言することができること」としています。科目の評価・検討をする際に、GPS-Academicの客観的なデータをもとに学部内で議論できるようになるのは、非常に有意義だと思います。加えて、同時に確認する学生の学びの姿勢・態度のデータとの関連からどういった姿勢・態度の学生がどのような学修経験をしているかを知ることができ、学修支援を考えるうえで有効なデータとなりえます。
 2018年5月には、看護学部1・2年生全員がGPS-Academicを受検。今後は、毎年同じ時期に受検できる機会を設け、集計データを学生の成長の可視化、DP・CPの検証、カリキュラム改善などに役立てていくつもりです。
 学生たちが巣立っていく看護の現場は、医師からの指示により動くことが多い環境であるのは否めません。ただ、そこで「指示待ち」にならず、自由な発想で仕事の効率化を提案し、周囲に流されずに倫理的な判断を行い、且つ論理的に発言し、より質の高いケアを創造できる力が今後ますます求められます。これらの基盤になるのは「考える力」です。そのために大学の看護学教育で何ができるのか……新たなカリキュラムを検討する際に、GPS-Academicが示す客観的なデータは大いに参考になるでしょう。ここで得た知見を学部のIR活動に反映していくことが、岩手県立大学看護学部の独自性の追究にもつながっていくと考えています。

※1 ディプロマポリシー
※2 カリキュラムポリシー
※3 アドミッションポリシー

図C : 岩手県立大学 看護学部 教育課程検討委員会での作業の全体像(※大学より頂いた資料を基に一部編集)

図D : 教育評価システム(アセスメントポリシー)の構築について(※大学より頂いた資料を基に一部編集)

追手門学院大学

副学長/教授
福島 一政 先生

教務部 教育企画課
森田 学 先生

入学者の傾向把握だけでなく
学びへの動機づけにも活用したい

導入目的

学内ポートフォリオに表示する情報の一つとして
学生が成長実感を抱き、自身の関心や強みを把握するため
教員が学生の資質に気づき、成長を促すため

学内ポートフォリオの改良に向けて、新しい指標を求めていた

 追手門学院大学は入試改革の一環として「アサーティブプログラム」「アサーティブ入試」を実施しています。高校生と複数回に渡り面談を行い、大学で学ぶ意義を考え、学習に向かう意欲を高めたうえで選抜を行う入試です。この入試の検証のために、以前よりベネッセ i-キャリアの大学生基礎力レポート(アセスメントテスト)を受検させていました。また、この取り組みとは別に、授業の履修状況、成績、出欠情報を教職員と学生の双方が確認できるポートフォリオ「オイナビ」の開発も進めていました。
 この2つのツールを使い、中退の可能性がある学生群の洗い出しや、成績不振者の指導に役立てていたのですが、さらに一歩進めて、学生の学修成果をより把握しやすくし、学生自身が成長を実感できるシステムにしたいと考えました。
 そこで候補に挙がったのが、GPS-Academicでした。思考力というGPAとは別の視点から学修成果を測ることができ、PBL型授業との親和性が高いこと。加えて、大学生活の満足度や意欲を問うことが可能なアンケートがあること。また、大学独自の設問も設定可能なこと。特にこの3点が決め手となり、導入を決意しました。

学生の刺激になる効果的な見せ方を模索したい

 2018年度から全学部の新入生を対象に結果を活用することもあり、実施の面でも工夫を行っています。新入生オリエンテーションでの説明だけでなく、1年次のゼミを担当する各教員によるアナウンスや、職員が電話で補足の説明も行いました。結果として、約1,800名の学生が受検し、受検率は全体の97%を達成。上々の滑り出しだと言えます。今後は2~4年次の学生にも受検させる予定ですので、受検率を維持するため、学生への告知方法や実施の方法を含め、新たな施策を検討したいと考えています。
 加えて、GPS-Academicの受験結果は、設計を改良した学内ポートフォリオ「※オイナビ」へと搭載していく予定です。まだシステムは作成途中ですが、単にテストの結果を見せるのではなく、その学生の立ち位置がわかるような見せ方にしたいと思っています。今までは、単にGPAを提示しても、「1.5が低いのか、高いのかが、学生は判断がつかなかったからです。現状の「オイナビ」は、自分のGPAが学部・学科のどの位置にいるのかがわかるよう可視化しています。GPS-Aについても、自分がどのような立ち位置にいて、どこに強みがあるのかをわからせることが目的ですので、データの見せ方には工夫が必要だと思っています。 また、ポートフォリオにはGPS-Academicの結果以外に、GPA、SPI、課外活動の内容と教員のフィードバックなども載せる予定です。複数の角度から活動履歴や実績、成績の推移を見せることで、学生の気づきを増やしていきたいと思っています。
 本学は、すべての学部の学生に担当教員として「アカデミックアドバイザー」と呼ぶ専任教員をつけています。これまでも中退の予防や、成績不振の指導にあたっていましたが、今後はこの発展したポートフォリオを活用し、学生の成長により強く寄与する指導を行えるよう指導体制をつくっていければと思います。

※開発中の学内ポートフォリオ「オイナビ」のイメージ